ベンガラは、土から取れる酸化鉄が主成分の天然素材の顔料です。 暗い赤みを帯びた茶色が特長的で、人類が最初に使った赤色の無機顔料と言われています。 弁柄または紅殻とも表記され、インドのベンガル地方産のものを輸入したために 「ベンガラ」と言われるようになったそうです。
現在は塗料や研磨材としても用いられていて、和風なデザインとの相性もよく、 ベンガラを柿渋と混ぜて塗料に使用すると、防水、防虫防腐などの効果がより発揮されます。
ベンガラは、日本の暮らしにも古くから根付いている素材で、その品質の素晴らしさから陶磁器の模様書き(九谷、有田、伊万里、薩摩等)や漆器の下塗(輪島・讃岐等)、家具塗装、家屋のベンガラ塗り、染料、朱肉、船舶錆止めなど、非常に広範囲のものに対して使用されてきました。
長年の間、愛され続けてきたベンガラの独特のカラーは、日本人の心の奥底に残る故郷を彩る、懐かしい色のひとつなのかもしれません。
ベンガラは無機顔料なので余計なものが含まれていません。粉末状になっているベンガラは水に溶けないので、塗装する場合は、有機溶剤が必要になります。そこで無添加住宅では、シンナーのような有機溶剤は使わず、身体に害のない豆乳と焼酎を有機溶剤の変わりに使用しています。そのため、有機溶剤の独特の刺激臭がなく、毒性もないので施工者にとっても住む人にとっても優しい塗料なのです。
顔料は「有機顔料」と「無機顔料」と大きく分けることができます。
有機顔料:石油などから構成される合成顔料
無機顔料:天然の鉱石や金属の化学反応によって得られる酸化物などから作られる顔料
無機顔料であるベンガラは、紫外線にも強く耐候性・耐久性に優れているという特長を持っているため、経年劣化しにくい素材と言えます。
代表的な赤色だけでなく、褐色や黒色、黄茶色など調合と焼成温度によって赤系以外の色も作ることが可能となりました。 京都で見られる落ち着いた赤茶色の「紅殻格子」が身近な使用例です。
ペンキでは決して表現できない、自然素材ならではのやさしい色合いと風合いをもち、 壁材の漆喰に混ぜたり、無垢の木に塗装などに使用しています。 内壁の一部に塗装することで室内空間にアクセントをつけることも可能です。
#1赤
#2黄
#3黒
#4ボルドー
#5茶
#6ベージュ